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本当に処女作?完成度の高いクリスティ「スタイルズ荘の怪事件」

忘れてました。

何度も読み返すアガサ・クリスティ作品。


「スタイルズ荘の怪事件」


アガサ・クリスティの記念すべき第一作。

何十回目かわかりませんが、先日また読み返しました。



いやあ、完成度高い!
本当に処女作なのでしょうか?
殺人トリックといい、伏線の張り方といい、人物描写といい、こなれてますよ。加えて、ポアロヘイスティングスのキャラクターもしっかり固まってるじゃないですか。しかも、ポアロさんの超がつく几帳面な性格が事件解決の一翼を担う事にもなってるし。緻密によく練られているなあ、と改めて感嘆しました。



あらすじ。


旧友ジョンの招待でスタイルズ荘に逗留していたヘイスティングスは、ベルギー人の探偵エルキュール・ポアロと再会する。ポアロは戦争難民としてイギリスに来て、ジョンの義母イングルソープ夫人の援助で、スタイルズ荘のある村スタイルズ・セント・メアリに暮らしていた。

イングルソープ夫人は、数年前に20才以上若いイングルソープと再婚しており、イングルソープは夫人以外の家族や召使らから「金目当てに結婚した悪人」と思われ嫌われていた。また、ジョンや弟ローレンスらは財産が無く、イングルソープ夫人に頼ってスタイルズ荘で暮らさなくてはいけない現状に不満を抱いていた。

そのイングルソープ夫人がストリキニーネで毒殺される。

ヘイスティングスの提案を受け、ジョンはポアロに事件の捜査を依頼する。早速スタイルズ荘にやって来たポアロは、夫人の寝室で、緑色の布の切れ端、壊れたコーヒーカップ、コーヒーのしみ、ココアの入っていた鍋、焼け焦げた遺言状の一部などを発見する。

ストリキニーネは即効性があり、しかも大変苦い味のする毒薬。ココアでは味がごまかせない事からコーヒーに入れて飲まされたと思われたが・・・


このトリック、凄い!上手い!

クリスティならこの程度は当然なのですが、処女作でこれは凄い!と思います。

クリスティは戦争中に看護婦として働いていた事があるとかで、薬に関する知識があり、それを作品に生かしています。

私はストリキニーネという毒物の存在を推理小説で知りました。他によく出て来るのが、青酸カリ、砒素、モルヒネなどですが、さすがクリスティは詳しいだけあって、燐とかコニインとかアルカロイド系毒物とかバラエティに富んでいます。
でも、もしかしたら日本人にはトリカブトの方が有名かも。若い人にはわからない話かもしれません。



ちょっと気になった、というか、驚いたのが、容疑をかけられている夫のイングルソープが、薬局で「犬を薬殺するため」という口実でストリキニーネを購入したとかしないとかいう話が出てくる所。


え~!!犬を殺すの?

どうも、病気になった犬を薬を使って安楽死させる、という事らしいんですが、それにしてもよりによってストリキニーネとは。イングルソープ夫人の死ぬ場面を見ると、ストリキニーネで死ぬのは相当苦しいらしい。
仮に、どうしても安楽死させるしかない、という状況だとしても、ストリキニーネはないでしょう!少しでも苦しみの少ないようにって考えるのが普通では?

「犬を殺すためにストリキニーネ・・・」という話自体も驚きですが、その話が何かサラッと出てきて、登場人物の誰一人として私のようなツッコミを入れない所に更に驚き!

この時代のイギリスではよくある事だったんでしょうか?イギリス人は犬好きのイメージなのに。クリスティ自身も犬好きのはずなのに。何と言うか・・・絶句。

まあ、昔の事だから今とは価値観が違って当たり前で、今の感覚で残酷だ何だと言ってもしょうがないんですが。

でも、しつこいようだけど、ストリキニーネで犬を殺すって・・・。



クリスティや他の外国の作品を読んでいて、時々こういう風に「え~!?」とビックリしたり、カルチャーギャップを感じたりする事があります。


「気付け薬はブランデー」
これは、しょっちゅう出てきます。定番中の定番ですね。日本だと何だろう?日本人も気付け薬にブランデー飲んだりするかな?洋館に住んでるお金持ちなら日本人でも飲んでそう。
気付け薬だと思って飲んだブランデーに毒が仕込まれていて・・・ていうのもありました。油断大敵!

「頭痛にはオーデコロン」
こめかみにつけるようです。香りにもよると思いますが、頭痛いときにオーデコロンなんかの匂いを嗅いだら、私は多分吐き気を覚えると思います。

「枕の下にウェディングケーキ」
これはクリスティの「葬儀を終えて」に出てきたビックリカルチャー。枕の下にハンカチなどで包んだウェディングケーキを敷いて寝ると・・・結婚に憧れる独身女性の夢がかなうと言われているらしい。あ、ケーキと言っても生クリームたっぷりとかそういうやつではないみたいです。生クリームたっぷりのやつだと、ベッドが大変な事になりますからね。日本では、好きな異性の写真を枕の下に敷いて寝るとその人の夢が見られる、とかいうのがあったような。発想は同じなんでしょうね。

他にもいろいろあったと思うんですけど、とっさに思い出せません。また機会があれば。





それにしてもヘイスティングスときたら。

ジョンの奥さんのメリーの優雅な魅力にポ~ッとなったかと思うと、イングルソープ夫人の養女シンシアの涙に思わず「結婚して下さい!」とか言い出したり。殺人事件にポアロを引っ張りこんでおきながらオマエは何をヘラヘラ、フワフワしているんだ!?とグーパンチしたくなるようなお気楽ぶりです。

でも、このヘイスティングスの能天気でおマヌケなキュラクターこそがクリスティの上手さなんですね。
ポアロの相棒でもあり、物語の語り部でもあるヘイスティングスが、自分ではそれなりに賢いつもりでああでもない、こうでもないと繰り広げるトンチンカンな推理が、読者をますます迷わせる事になります。
と同時に、一見支離滅裂なヘイスティングスの思考や他愛もないお喋りが、事件の核心にズバッと迫っていたり、決定的なヒントとなってポアロが真相にたどり着くのに貢献したりします。もちろん、ヘイスティングス自身は、最後にポアロの謎解きを聞くまで全くその事に気づいていません。

この「スタイルズ荘の怪事件」でも、ヘイスティングスの「ポアロ、あなたは○○ですね。」という何でもない一言が事件解決の決定的鍵になっています。



デビュー作とは言え、プロット、トリック、人物描写、伏線の張り方、犯人の意外性などクリスティ作品の中でも秀作の部類に入ると私は思っています。ちょっとだけツッコミ入れたい所もありますが。



ところで。
この作品、第一次大戦中を舞台にしています。戦時中だからあれが不足してる、これを節約してる、とか一応それらしい話は出てきますが、それにしてものんきで優雅な生活してるなあ。上流階級だから、とは言っても戦時中は戦時中ですよ。


大英帝国の「大」って誇張でもハッタリでもなかったんですね。



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