フィギュア強国ならではの厳しさ・・・
全日本の熾烈な闘い。
日本のフィギュア選手は本当に大変ニャ。
でもファンにとっては嬉しい事ニャ。
目まぐるしかった12月。ようやく仕事納めで久々のブログ更新です。
もう、もう、全日本を観て喋りたかった事がいっぱい!
まずは、宇野選手、初優勝おめでとう!
そして宮原選手は3連覇おめでとう!
王者羽生選手の不在、女王の座を脅かす若手がまだ経験不足、という状況で、宇野、宮原両選手の優勝はほぼ規定路線とはいえ、その規定路線通りの結果を出すことがどれほど難しいかは、宇野、宮原両選手の演技前後の表情を見ると何となくわかります。
わけても宇野選手の男泣き。
私は基本的にアスリートの涙は好きではないのですが、久々にグッときた涙でした。
全日本の宇野選手の演技。
SPもFSも決していい出来とは言えませんでした。特に4回転はクリアに決められたジャンプが一つもなかった。FSの4トゥループは2本とも単独になってしまった為かなり点を損してしまいました。本人にとっては不満の残る全日本だったと思います。
それでも宇野選手が強いなと思うのは、同じミスでも回転不足を取られるのが少ないところ。苦しい着地であってもしっかり回りきっている事が多い。他の選手の演技でよく見かける、抜けるとか、途中でほどけるとか、そういったミスが少ない。
昨シーズンの宇野選手のコメントに「ジャンプのミスはあったけど消極的なミスではなかった、チャレンジした上でのミスだったので・・・」みたいなのがあったのがとても印象に残っています。このコメントから想像するに、宇野選手はおそらくジャンプを跳ぶ時に「失敗を恐れず思いきって跳ぶ」事を人一倍心がけているのではないかな?と。
もちろん、他の選手もそこは同じだろうと思いますが、宇野選手の場合そのあたりの強気が抜きん出ているのかな?技術的なところは私はよくわからないので、やっぱり気持ちの問題かな?と想像しているのですがどうなんでしょうか。
ともあれ、コーチに抱きついて子供のように泣きじゃくっていた宇野選手。演技中の男っぽさとの対比がなんとも言えず魅力的でした。母性本能をくすぐるというか。少年と大人との間にいる年代ならではの魅力ですね。またこれで女性ファンが増えたかも。
男子準優勝は田中刑事。NHK杯に続いてお手柄ですね。
私がNHK杯で田中選手びいきになったせいかもしれませんが、全日本での田中選手には自信と風格みたいなものを感じました。インタビューでは緊張してたと言ってたけど、GPシリーズの時に比べると演技自体は随分落ち着いて集中していたように見えました。
準優勝という結果も、ラッキーに転がり込んできたのではなく、今の自分に出来る事、やるべき事をやって取るべくして取った、という感じがします。
面白かったのはショートのインタビュー。ステップでは大きな手拍子が鳴り止みませんでしたね、という質問に対して「緊張と入り混じって、自分の中では動きづらかったです。」と答えたのには笑ってしまいました。ここは普通嘘でも「嬉しかったです」とか「有り難かったです」とか言う所だろう、と。なんて正直で素直な人なんだ!一歩間違えれば、観客の手拍子が邪魔だったという意味に受け取られるかもしれないのに。悪気や嫌みがないからこそというか、むしろ真面目で正直な人柄が感じられるコメントでした😺
無良選手はショート1位だったのにフリーで振るわず3位。どうも無良選手は実力を出しきれず、自滅パターンが多い。ショート、フリー両方良かった試合の印象があまりありません。特に今回のフリーは出だしが良かったのに後半ミスを連発。プレッシャーでスタミナが早く切れてしまったのでしょうか。本人は力みすぎたとインタビューで話してましたが、私には最後の方、足にきていて踏ん張れなかったように見えました。
それでも得意の3アクセル、後半の2本目がダブルになった後もう一度3アクセルに挑んだあたりに意地を感じました。こうしたリカバリーは練習していたらしいのですが、残念なのはその後。3フリップ、3ルッツという基礎点の高いジャンプが決まらず、コンビネーションにする事も出来なかった。結局コンビネーションは1本しか跳べなかった、これが痛かったと思います。
小塚元選手やここ数年の浅田選手にも共通する「力が無いわけではないのに、ここぞというところで結果が出せない」もどかしさを無良選手にも感じます。今回もショート1位で世界選手権に手をかけかけたのに逃してしまった。ひいきの田中選手が代表に選ばれたのは嬉しいですが、無良選手の悔しさを思うと残念でなりません。
男子は日本がレベルトップだと思うので4枠にしてくれないかな。そういう風に規定を変えてくれないかな。無理でしょうけど。
その他の選手で印象に残ったのは日野、友野、島田、須本の4選手。
山本選手の代わりに出場したNHK杯では「ボクなんかがこんな舞台に立っていいのかな?」という感じで遠慮がちに見えた日野選手。そのNHK杯出場の経験が自信に繋がったのか、全日本ではいい感じにギラついてきたように思います。スピードと勢いも増してきたように感じたのは気のせいでしょうか。
フリーのインタビューの途中で感極まって言葉に詰まりかけた時、カメラがスッとズームアップしたのにイラッ。アレ、テレビで見てていつもイラッと来ます。多分テレビ業界、カメラマンの間では常識というかマニュアル化しているのでしょう。出演者が涙ぐんだり感極まったりすると必ずと言っていいほどカメラが寄る。下品な条件反射だなと思います。人の感情や感動を売り物にしている感があからさま過ぎて、無神経、厚顔無恥なテレビマンの顔がちらついて、感動しかけてたのが一気に冷めます。業界にドップリ浸かっていると、見ている人がそれをどう感じるかという想像力が欠如してくるんでしょうか。ズームアップだけでなく、テレビを見ていてテレビ業界人の惰性や思考停止ぶりにイラッと来る事がよくあります。こういう演出が視聴者にウケると独りよがりに決めつけて番組を作ってるみたいな。
たまに寄らないカメラワークに出会うと良心的なカメラマンもいるんだ、と勝手に感心してしまいます。単にたまたまだけだったかもしれないのに。それぐらいテレビのお約束というヤツが嫌いです。
全日本ジュニア王者・友野選手は既に来シーズンのシニアデビューに備えたモードに入っている感じ。フリーでは4回転サルコウ、3アクセルを見事に成功させました。ジャンプだけでなく、スピンを丁寧に回っていたり、ステップでは全身で表現しようという意欲が感じられたり、溌剌とした気持ちのいい演技でした。何より楽しそうに滑っていたのが良かった!
ちょっと残念だったのが、ショートもフリーも3フリップからのコンビネーションが3-2になったところ。あれが3-3に出来ていたらもっと点が伸びたのに惜しかった、もったいなかったと思います。
島田選手はジュニア時代の羽生選手を彷彿とさせる所があると思います。線が細く王子様感があって、でもその中に力強さも隠れていて、観る人を惹き付ける何かがあるような気がします。ちょっとうまく表現できないのですが。
羽生選手のように王子様感はそのままに、タフでカリスマ性のあるスケーターになっていく可能性を持っていると思います。
フリーの「ロミオとジュリエット」は島田選手にピッタリの選曲。今シーズンの日本選手のプログラムの中でも特に気に入っている一つです。本田真凛選手も同じくフリーで使ってますね。フィギュアではベタ中のベタな曲で、一部では「ベタ過ぎやん!」という声もあるようですが、両選手ともロマンチックな雰囲気のある選手なので似合ってるから私は全然OKだと思っています。
まだ難易度の高いジャンプはあまり入れてないですが、ジュニアGPシリーズ2戦目では回転不足で転倒はしたものの4サルコウにチャレンジしてました。ジャンプに関してはまだまだこれからですね。
4回転はまだまだでも、前半のコンビネーションの最初の3ルッツなんかは大きく幅があって壮快です。今回のカメラの角度では分かりにくいのですが、ジュニアGPシリーズフランス大会では真横からの角度だったので、幅があるのがよくわかりました。
スピード感があって尚且つ滑らかに伸びるスケーティングは私の好みです。同世代のジュニア選手の中でも最も期待の選手です。インタビューでの受け答えを聞いていると、15歳という年齢にしてはしっかりと自分の考えを持ち、自分の言葉で語れる選手に思えます。このまま伸び伸びと自分のペースで成長していってくれると嬉しいなと思います。
須本選手も今シーズンのジュニアGP シリーズで活躍し印象に残った選手。淡々、飄々としたユニークな雰囲気を持ってますね。顔立ちがちょっと若い頃のさんまさんに似ているような・・・。
須本選手も滑らかで流れのあるスケーティングが持ち味の選手。今回は更にジュニアGPシリーズに比べてスピードとキレが増しているような気がします。
シニア、ジュニアに関わらず、全般的にGPシリーズよりキレのあるいい演技をする選手が多かった印象があります。若いから短期間でグッと伸びたのか、全日本ではより一層気合いが入るからなのか。
いずれにしても日本フィギュア界の層の厚さを再認識できた嬉しい大会でした。
選手は本当に、本当に大変でしょうけど。
フィギュアスケートカテゴリーですニャ
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