謎好きにゃんこの妄想

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初心者が解説してみた!フィギュア・ジャンプの採点ルール その2

その2では、ジャンプを跳びすぎてしまった場合の採点ルールについて解説してみます。

※私は「初心者に毛が生えた」程度のフィギュアファンなので、持ってる知識は不十分で曖昧です。でも、いちいち調べて確認してから書いているといつまでも書き終われそうにないので、ここでは「今現在、自分がこう理解している、こう記憶している」ものをベースに書いていきたいと思います。内容が不正確だったり記憶違い、勘違いしてるものを含んでいるかもしれませんので、その前提でお読みいただければ助かります。
「フィギュア観るの好きだけど、ルールとかはわからない、わざわざ詳しく調べるほどでもない」という方に、ザックリ大体こんな雰囲気、というのが伝わればいいな、という程度のものですのであしからず。


※2019.3.26追記
今シーズンのルール変更を受けて追記、そのついでにわかりにくかった文章を修正しました。

※ルール変更に追いついてなかったので、2021.4現在のルールや基礎点に修正しました。




●跳びすぎ注意!

「私はスタミナあるから、ジャンプいくらでもガンガン跳べるゼ!」

こんな選手がいたとして・・・
ジャンプをたくさん跳べば、得点をたくさん稼げて有利なのでは?

・・・そうはいかないんですね。
ジャンプの回数は決められています。



○ジャンプの回数

SP(ショートプログラム)は3回、
FS(フリースケーティング)は7回まで。


※SPもFSもエレメンツ(=要素、ジャンプ、スピン、ステップシークエンス、コレオークエンスの総称)を行う順番は自由。

※体力的に苦しくなる後半に跳ぶジャンプの内、SPは最後の1本、FSは最後から3本が基礎点1.1倍になる。




◉SP(ショートプログラム)のジャンプは3回まで。

※SPは基本の採点ルールとは別に、SPのみの規定があります。規定を満たしていないジャンプは0点、又は減点になります。


SPで義務づけられているジャンプ
※ここではシニア対象の規定を説明します。
下の年代のカテゴリー、ジュニアやノービスなどを含めるとややこしくなるので。


 ○コンビネーションジャンプ

 2連続のコンビネーションジャンプ。コンビネーションに出来ず単独になってしまったジャンプには+COMBOという記号が付けられ減点対象となる。
 男子と女子で異なるが、○回転+○回転以上という規定があり、回転数が規定に満たないジャンプは、ケースによって0点、又は減点となる。


 ○アクセルジャンプ
 2回転又は3回転のアクセルジャンプが必須。1回転になってしまったアクセルは規定違反で0点になる。


 ○単独ジャンプ
 3回転(男子は3回転又は4回転)の単独ジャンプを跳ばなければいけない。2回転以下の単独ジャンプは0点になる。
 この際、コンビネーションで使ったジャンプ、アクセルジャンプとは違う種類のジャンプを跳ばなくてはいけない。


●OK例(順不同)
 3フリップ-3トゥループ
 3ルッツ
   (又は3ループ、又は3サルコウ
   つまり上記コンビネーションで使っている
   フリップとトゥループ以外ならOK)
 2アクセル(又は 3アクセル)
※コンビネーション内での種類重複はOK。
3ループ-3ループや3トゥループ-3トゥループなど。

●NG例(順不同)
 3ルッツ-3ループ
 3ループ
 1アクセル
※コンビネーションで使ってる3ループを、単独で重複して跳んでしまってるのでアウト。後で跳んだ方の3ループが0点に。アクセルもシングルなので0点。
 



細かい事を言えば他にもいろいろあって、まだ全てを把握しきれてません。実際の事例が出てきた時に、プロトコル(プログラムごとの採点表)を見てなるほど、と一つ一つ勉強してます。
ルールブックは表現が分かりにくい上、あまりにも事細かに書かれていて余計混乱するので、実例が出てきた時に都度覚えていく方が頭に入ってきやすく効率的だと思います。


※今のところ、女子はSPに4回転を入れる事は出来ませんが、女子にも4回転時代が到来しつつあるので、いずれ解禁されるかもしれません。




◉FS(フリースケーティング)は男子は8回まで、女子は7回まで。
(※2018ー2019シーズンより、男子もFSのジャンプは7回までとなりました)

 うち3回までは連続ジャンプに出来る。
 その内1回は3連続に出来る。


FSはSPと違い、1回転や2回転になったジャンプでも点はもらえます。
採点ルールの範囲内であれば、SPとは違って自由にジャンプ構成を組むことが出来ます。


このようにジャンプの回数は決められているのですが、跳びたかったらもっと跳んでもいいです。ただ、規定数を越えたら点にならないだけで。




○得意なジャンプだけ跳ぶ!・・・というワガママは許さん!


ジャンプで得点を稼ごうと思ったら、やっぱり基礎点の高いジャンプをたくさん跳んだ方が効率がいいと誰しも考えますよね?


女子の場合。
例えば3回転ジャンプなら、3アクセルは難易度が高すぎるので置いとくとしても、その次に基礎点の高い3ルッツをたくさん跳べばお得。ルッツジャンプに自信のある選手なら尚更。

でも、これ、ダメなんです。
同じ(同じ回転数かつ同じ種類)ジャンプを跳べる回数には制限があります。




具体的に言うと、例えば、2回転ジャンプは同じ種類のジャンプは2回までしか跳べない、というのがあります。


更に、3回転以上のジャンプはもっとややこしい。


①3回転以上のジャンプは、同じ種類のジャンプを2回跳ぶ場合、少なくとも1つはコンビネーションにしなければならない。


もし、2回とも単独ジャンプになった場合は、規定違反の「繰り返し(REPと表示されます。リピートの略)」で、2回目のジャンプの基礎点が7割になり、「GOEもマイナス評価となります」←これは私の勘違いでした。リピートは基礎点が減るのみで、GOEのマイナス要件ではないようです。

例:
1回目の単独3フリップの基礎点 5.3点
2回目の単独3フリップの基礎点 5.3×0.7=3.71点




②3回転以上のジャンプは、同じジャンプを2回跳べるのは、2種類まで。

もし、同じジャンプを3種類、2回ずつ跳んだとしたら、規定を越えて跳んだジャンプが0点になります。

例:
3ルッツ-3トゥループ   10.1点
3フリップ         5.3点
3ルッツ          5.9点
3フリップ-2トゥループ   6.6点
3サルコウ-3トゥループ   4.3点(オダった!※)

上記の場合、3ルッツ、3フリップ、3トゥループをそれぞれ2回ずつ跳んでしまっているので、最後の3トゥループが0点になり、3サルコウの基礎点しか入らない、という事になります。



※このルールは、何たらザヤックという選手が、多分よほど得意だったんでしょう、3トゥループを4回くらい跳んで優勝した事が物議を呼び、それがきっかけで出来たルールだとかで、通称ザヤックルールと呼ばれているそうです。
このルールに抵触する、同じジャンプ跳びすぎ!をやらかす事を「ザヤる」とも言うそうです。現役時代、織田信成さんがよくやらかしていたので、「ザヤる」が「オダる」になったこともあるとか。確かに、私も織田さんがオダっている試合、何回も観た記憶があります😺




ところで、そもそも事前にジャンプ構成を決めているはずなのに、なぜこうした初歩的ルール違反をしてしまうのか?普段、あまりフィギュアを観ない人には不思議に感じられると思います。

これは、予定通りにジャンプが決まらなかった場合、すなわちジャンプを失敗したときに発生してしまう事案なんですね。


例えば。

3ルッツ-3トゥループの予定が、3ルッツ-2トゥループになってしまった!
それなのに、その後の3連続ジャンプで2アクセル-2トゥループ-2トゥループを予定通り跳んだ、という場合。
結果、2トゥループを3回跳んでしまったため、2回転の同じ種類のジャンプは2回まで、というルールに抵触。最後の2トゥループが0点になります。

これを回避する方法としては、3連続の最後の2トゥループを他の種類、又は他の回転数のジャンプに変更するというのがあります。例えば、2ループに変えるとか。
(※ジャンプは基本、全て右足で着氷します。よって、コンビネーションの2つ目、3つ目のジャンプは、必然的に右足で踏み切るループかトゥループになります)
これが出来れば、3連続の基礎点は5.9から6.3にアップするのでリカバリーとしてはベストだと思います。もちろんその分難易度は少し上がりますが。

どうせ0点になるのだから、最後の2トゥループを跳ばずに3連続を2連続にして体力の無駄遣いを防ぐ、という考え方もあるでしょう。

でも、選手の多くはやはり、出来るなら3連続は入れておきたい、と考えると思います。




4回転時代に入った男子では、難易度の高い4回転を失敗した場合に起こりがちです。

4トゥループ
4トゥループ-3トゥループ
を跳ぶ構成にしていたプログラムで、例えば、4トゥループが2つとも3回転になってしまった場合。

結果的に
3トゥループ
3トゥループ-3トゥループ
を跳んだ事になるので、3回転以上の同じ種類のジャンプは2回まで、というルールに違反。最後の3トゥループがやはり0点になります。

これも回避方法としては幾つか選択肢があります。
最後の3トゥループを2トゥループか2ループにする、コンビネーションの1つ目の3トゥループをまだ跳べる余地のある他のジャンプに変える、など。

さっきの例と違って、どうせ0点になるのだから最後の3トゥループを跳ばない、という選択はマズイです。そうすると、同じジャンプを単独で2度跳んだことになって、2つ目の単独ジャンプが基礎点7割になってしまうので。



※今シーズンのグランプリファイナルで、宇野選手がFSの最後のコンビネーションジャンプを単独ジャンプに変更したのも、おそらくこの「オダる」が頭をよぎったのではないか?と、「オダる」の元祖・織田さんが解説してました。

遅ればせながら・・・フィギュアGPファイナル観戦記 宇野選手への愛のムチ篇
  



逆に、規定に沿ったジャンプ構成を見てみましょう。

例えば、アクセル以外で最も基礎点の高いルッツが得意なので、3ルッツを2回跳ぶ構成にしたい!という場合のジャンプ構成例(順不同)

3ルッツ-3トゥループ
3ルッツ
3フリップ
3ループ
3サルコウ
2アクセル-3トゥループ
2アクセル-2トゥループ-2ループ

これは一例ですが、割と標準的なジャンプ構成になります。

上記の例では3ルッツと3トゥループを2回跳んでいますが、どちらも「少なくとも1つはコンビネーションにしなければならない」という①を満たしています。そして、同じ3回転ジャンプを跳んでいるのは、ルッツとトゥループの2種類だけなので、②も満たしています。




跳びすぎとは逆に、苦手なジャンプを跳ばないジャンプ構成にしている選手もいます(例えば、ループが苦手なのでループを外したジャンプ構成にしているなど)が、その場合はもしかしたら演技構成点でマイナス評価されているかもしれません。
ジャンプ構成がバラエティに富んでいる方が高い評価を得やすい、と聞いたことがあるので。


演技構成点とは
PCSという略語で呼ばれ、スケーティング技術、繋ぎ、パフォーマンス、構成、音楽の解釈の5つの項目で評価される。
昔の採点法にあった芸術点と同一視されやすいのですが、芸術点とは違うそうです。どう違うのかはあまりよくわからないです。芸術点の時よりはジャッジ個々の好みや印象に偏らないようになっている、らしいです。本当かな?
一定の基準はあるようですが、具体的にどういう所をどう評価されたのか、選手も「わからない」そうです。


※個人的には、今回五輪で銅メダルを獲ったカナダのケイトリン・オズモンド選手に、この演技構成点を高くつけすぎ!と思っています。
昨シーズンからやたらと高得点を取るようになって、この五輪でメダルを獲らせるというシナリオありきだったのではないか・・・?なんてね。

いくら何でも極端過ぎニャいかい?GPSカナダ大会採点



ジャンプの回数制限に関するルールは、一見ややこしく思えますが、これを念頭に置いて何回か実際の試合を観ていると、だんだん簡単に理解できるようになると思います。



ジャンプを失敗した時に、このルール違反を回避するために演技を続けながらとっさに計算し、その後のジャンプ構成を変える事が出来る選手ってスゴい!と思います。日頃の練習の中でいろいろなケースを想定して準備しているんだろうと思います。
そういう所もわかるようになると、ますますフィギュアを観るのが面白くなる!と思う・・・少なくとも私はそうです。



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