謎好きにゃんこの妄想

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あの繊細なイケメン君があのオジサンになるの!?主任警部モース&新米刑事モース

今、プチはまりしている海外ドラマ、NHKで毎週土曜日に放送中の「主任警部モース」。


本国イギリスでは、86年に放映が始まり2000年まで続いた人気ドラマで、主人公のモースおじさんは、イギリスの人気投票であのシャーロック・ホームズを抑えて一位になった事もあるらしい。

気難しいけど天才のシャーロックに対して、刑事として有能ではあるけど欠点だらけで失敗もいっぱいする人間臭いモースおじさん。
小6から中1くらいの時にシャーロックの原作読みまくった私は、キザで鼻持ちならない自惚れ屋のシャーロックのキャラと、彼の推理が的中し過ぎるご都合主義な展開にイマイチ入り込めなかったので、モースおじさんの方により共感する人が多かったのはなんとなくわかる。

まあ、ベネディクト・カンバーバッチ版の「シャーロック」、ジョニー・リー・ミラーアメリカ版「エレメンタリー」が出てきた今なら、多分シャーロックの圧勝になると思いますが。

もはやミステリーの古典的名作として、何度も映画やドラマになり続け、「時代を越えて生き続けるシャーロック・ホームズ」には太刀打ち出来ないか。

いやいや、実はそうでもない。
モースも時代を越えて生き続けるステージに入りつつあるようです。

パイロット版が作られた段階で、既に中年、と言うよりモシャモシャ白髪で初老の域に達していたモースおじさんが、21世紀に入って復活!
若かりし頃を描いた「オックスフォード事件簿~新米刑事モース~」が作られています。



実は私、イギリスのミステリー好きを自称している割に、つい最近まで「モース」をよく知りませんでした。

NHKで、まずは青年版モースのドラマ「オックスフォード事件簿~新米刑事モース~」を観て初めてしっかり認識しました。

青年モース君って、繊細で頼りなげで女性に弱くてちょっとダメっぽくて。
イギリスの映画やドラマで度々見かける「お育ちが良くてインテリでナイーブでヒョロヒョロとひ弱そうで、青白い顔したまあまあのイケメン君」。

初登場のパイロット版からして、現役の警察官のくせに死体を見ていきなりウッて気分悪くなってるし。解剖に立ち会って気絶しちゃってるし。
だいたいが、警察官の仕事に嫌気がさして退職願をタイプしている所から物語が始まってるし。
見た目もメンタルもひ弱そうな、イギリスの映画やドラマで本当に本当にお馴染みの「お育ちが良くてインテリでナイーブでヒョロヒョロとひ弱そうで、青白い顔したまあまあのイケメン君」そのまんま。
イギリスドラマの登場人物としては珍しくもなんともない。

・・・と思わせておいて。
話が進むうちに段々と「あれ?ただのひ弱なヒョロヒョロ君じゃない・・・かも?」となってくるのがこのドラマの面白い所。

まあまあのイケメン君と書きましたが決して私の好みではなく、最初の印象は「地味でどうと言う事もない俳優さんだな、イギリスではこういうタイプがウケるのかな?」で、特にイケメンとは思わなかった。
でも、観てる内にじわじわと魅力的に見えてきて、更におじさんモースのお姿を拝見してからはどうしても新旧比べてしまい、「好みによるけど、まあ、イケメンの部類だよね」という認識に落ち着いたわけで。
常日頃から思ってる事ですが、人の感覚なんていい加減なもんです。

それにしても、あのナイーブで純朴なヒョロヒョロイケメン君が、あのオジサンになるって・・・。いかに年齢を重ねたとは言え、ビジュアルもキャラも繋がらない。
私は先に青年モースを観てからおじさんバージョンを観たので、当初はおじさんモースに違和感が。(おじさんモースの方が先なので、違和感あるなら本来なら青年モースの方に文句つけるべきなんでしょうが)
だってぇ、おじさんモースにはナイーブさの欠片も無いんだもん。

あ、ちなみにナイーブという言葉、日本人は「繊細で感受性が強い」的に、割と誉め言葉っぽいニュアンスで使ってると思いますが、英語圏での感覚ではどちらかと言うとネガティブなニュアンスらしい。多分ですけど、「メンタル弱い、ひ弱、世間知らず、ウブ」みたいな感じじゃないかと。いずれにしても英語ネイティブの人には面と向かって使わない方がいい言葉だそうです。

この、ネガティブなニュアンスのナイーブという言葉がピッタリくる青年モース。

女性に弱くて惚れっぽくて、そしてなかなかモテます。

見た目草食っぽいのに女性に対してそこそこ積極的だし、また女性の方からのお誘いも多い。
でも、ナゼか決して本命にはなれない。

女性の方から積極的に近づいてくるのでモース君に気があるのかなー?モース君もまんざらではなさそうだし、このままいい感じになっていくのかな?と思って観てたら、他に本命がちゃんといたりとか。

そこのところは青年版もおじさん版も同じです。

そして、どちらも第1話から哀しい失恋を経験します。

青年版では、捜査の過程で出会った事件関係者の奥さんが、モース君がずっと憧れていた元オペラ歌手で、どんどん思いを募らせたモース君は遂に人妻の彼女にキスをしようとまでしちゃいます。彼女もモース君に好意を持ってる様子で、一瞬モース君の思いを受け入れそうな表情になりますが、結局「ごめんなさい、主人を愛しているの」と優しく断ります。

おじさん版では、好意を持ってる教会のコーラス仲間の女性に「今、誰か思っている人がいる?」とストレートに聞いて、「ええ、いるわ」とストレートに答えられてしまいます。

で、青年モース君もモースおじさんも、それでその女性に対して冷たくなるとか態度が変わったりする事もなく、相変わらず優しく紳士的に接し続けるんですよね。
むしろ、その女性の誠実さに触れてますます好きになってしまってるんじゃないかと思うくらい。
その優しさが切なくて泣ける・・・こういうのが本物の紳士。

青年版で元オペラ歌手を演じていた女優さん、同性の私から見ても超魅力的でした。エレガントで美しくて、で、どっかで見たことあるな?って気がして。
一応ググってフローラ・モンゴメリーという女優さんと判明。で、どっかで見たことある、の「どっか」を探すべくフィルモグラフィーを見てみたのですが、どれも観た覚えのない作品ばかりで。

で、つい最近になって、大好きな「名探偵ポアロ」(デビッド・スーシェ版)シリーズを一挙に観返してたら・・・。

見つけました!
どっかで見たことあるな、の「どっか」!!

クリスティの作品の中でも特に有名な「アクロイド殺し」。
被害者である大金持ちアクロイドの姪っ子で、アクロイド叔父さんに頼って生活しているフロラ。同じ名前の役を演じてました。
青年版モースを遡ること何年かはわかりませんが、多分20代で出演したと思われる「アクロイド殺し」では、さほど印象に残リませんでした。感じのいい若くて上品な女優さんってくらいかな。品の良さは若い頃からだったんですね。もちろん美人の部類だとは思うけど、飛び抜けて美女というほどでもなく、イギリスの映画やドラマではよく見かけるタイプの美人女優という感じ。

おそらく30代になってると思われる「モース」では、本当に美しくエレガント。歳を重ねて魅力を増してくるってヨーロッパの女優さんらしいですね。


青年版モースはシーズン毎のエピソード順に放映されてたみたいなんですが、おじさん版モースは飛ばし飛ばしで放映されてるみたいです。
良く言えばマイぺース、ありていに言うと自己中なモースおじさんに、時にウンザリしたり、時にイラっと来たりしながら共に捜査を続けていく部下のルイスが「なんか急に老けた?」と思ってたらエピソードを飛ばしてたからなんですね。


この前放映されたエピソード「死はわが隣人」では、容疑者の一人の大学教授役で「青年版モース」のサーズデイ警部役・ロジャー・アラムが出てました。
サーズデイ警部大好き!刑事ドラマで良く出てくる、同僚刑事たちから陰で「おやじさん」と呼ばれてそうな、有能で懐深くて厳しいけど温かい、部下にとって頼もしいタイプ。
将来作られるドラマで自分の部下になるモースに取り調べを受けてる、ってなんか不思議な感じ。

そう言えば、モースのファーストネームエンデバーだと言うのが、このエピソードで遂にバレちゃいます。
モースの父親がキャプテン・クックを無条件に尊敬していて、そのクックが乗っていた船の名前から取ったというエピソードも語られます。日本で言えば、○○丸みたいな感じなんでしょうか。
ファーストネームを明かした後、ルイスともう一人、その場にいる女性に「なんで2人とも笑わないんだ?」と尋ねるモース。「・・・お気の毒すぎて」と答えるルイス、ナイス返しです😺



「モース」は、謎解き云々より人間ドラマとしての面白さが肝だと思います。小説もドラマも推理ものが好きな私ですが、「モース」に関してはミステリーと言うより刑事が主人公の人間ドラマとして観ています。

あと、音楽がいいです。クラシック好きなモースは家でも車の中でも大音量で聴いてます。電話がかかってきても音量を下げない。で、「何?何だって?聴こえないぞ!」と電話に向かって怒鳴ってる。いやいやいや、そりゃ聴こえるはずないでしょ、レコード(又はラジオ)の音量がああじゃ・・・って毎回ツッコんでます。
劇中使われるクラシックの選曲もそうですし、特にエンディングに流れるテーマ曲がいい。ピーピッピ、ピピピッピという音で始まるんですが、これ、モースの綴りをモールス信号にした音だそうです。モースMorseがモールス信号のモールスと同じ綴りだから、らしいです。なるほど。
ギターが紡ぐメロディが哀愁を漂わせていてとても美しくて、この曲のおかげで5割増くらい名作度が上がってると思います。

音楽の力ってほんと大事。「アンナチュラル」も米津さんの「Lemon 」のおかげでかなり割増高評価されてると思います。
(証人に過ぎない監察医が、法廷で検事ばりに最終弁論ぶって被告を挑発して自白させる展開なんてあり得ない!裁判官も弁護人も止めずに黙って聞いてるって無理がありすぎ!いくらドラマと言ってもご都合主義が過ぎます。)



私の大好きなアガサ・クリスティのドラマもそうですが、英国ミステリーはストーリーも犯人もトリックも全てわかった上でそれでも何度でも観返したくなるような独特の味わいがあります。
アメリカのミステリードラマも面白いですが、何度も観返すというのはあまりない。
10代の頃にホームズシリーズ、クリスティ作品を読みまくり、強く影響を受けて、ベースにイギリスの風俗、文化や生活への憧れがあるからなのかもしれません。


古き良きイギリスの暮らし、憧れます。
一度でいいから、数日でいいから、ガッチリ堅固に作られた古いお屋敷で、暖炉のそばに座りゆったり紅茶を飲みながらクリスティの小説を読み耽ってみたい。
でも、そういう暮らしをしたら、今以上に出不精の引きこもりになってしまいそう。