謎好きにゃんこの妄想

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なんだこれ!?タイトル詐欺ムービー「モンスターズ地球外生命体」

なんだこれ?

観始めて1時間くらいの内のほとんど、この言葉が頭にありました。
いや、ほんと、なんだこれ?
モンスターの襲撃はいつ?戦うの?逃げるの?
それ以前に、主人公のアメリカ人男女の危機感の無さが・・・。



ネタバレありです。



NASAが他の惑星の生命体を捕獲して連れ帰ろうとした。
その生命体を乗せてた宇宙船が大気圏突入の際メキシコ上空で壊れた。
それでも生きてた生命体が繁殖、メキシコの半分くらいが危険地域になってしまった。
メキシコとアメリカの軍隊でモンスター殲滅を企てるが、作戦は難航していた。

そんな世界。

主人公の一人は、ジャーナリストのアメリカ人男性。
もう一人は、その男のボスの娘。
ボスの命令で娘の安否を確認するため病院を訪ね歩き、ようやく娘を見つける男。
娘は手を怪我していたものの元気だった。

男性がメキシコに来た理由はわかるんだけど、女性の方は何しに来たんだ?まさか観光ですか?

戦場の写真を撮りに来たはずが、ボスの命令で娘を無事にアメリカに連れ帰るミッションを課される男。

電話の声でしか登場しないボス。押しの強さ、いかにもワンマンっぽい感じ。
電話での会話から、何となく父と娘の溝みたいなものを感じる。
娘は、婚約者はいるけど、実は結婚にあまり気乗りがしてない雰囲気もある。メキシコに来たのもそれが原因なのかな?現実逃避的な。自分を見つめ直す、いわゆる自分探しの旅とか?
それでも、よりによってモンスターが常駐?するメキシコに来なくても。

あまりにも「なんだこれ?」だったので、1時間くらい観た所で一旦視聴を諦め、その後ネットでレビューを観て気が変わって最後の10分くらいを観たので、中間(アメリカとの国境にたどり着いて無事帰国するくだり)は観てない。
その、見逃した中間で明かされたのかどうか、結局女性がメキシコに来た理由はわからなかった。まあ、どうでもいいけど。

ただ、直接的なセリフではなく、こういう状況で当たり前にするであろう普通のやりとりやさりげない会話だけで、こういう背景を想像させる演出は上手いと思った。


あまり有能そうにも志が高そうにも見えない、いや、はっきり言ってだらしなくてポンコツな男と、いかにも金持ち娘らしく世の中の現実を見ずに生きてこられてた感じの女が、モンスターと共存してる異常事態な異国を横断して国に帰ろうとするロードムービー

だから、なんでこんなタイトル付けたの?ってツッコみたくなる。
タイトルがもうちょっとでも内容を反映してたら、それなりに観れた映画だったかもしれないのに。

て言うか、原題通りシンプルに「モンスターズ」で良かったんじゃないかな?モンスターとは戦わないけど、パニック映画じゃないけど、それでもラストまで観たらモンスターズというタイトルの真の意味が何となくわかる仕掛けになってる気もするし。

地球外生命体という余計な言葉をくっつけてしまったがために、もろにモンスターパニック映画ですよ感が出てしまい、そのせいで「いつになったらモンスターが襲ってくるんだよ!いつまでこの、ポンコツ男と軽そうな女のグダグダに付き合わないといけないんだよ!」と観ている人をイライラさせてしまい、私のように「もう観るの止ーめた!」っていう人が出てくる事になったと思う。


いや待てよ、もしタイトルが違っててもやっぱりイライラはしたかも。

まず、最初に書いたように、モンスターが出没する危険地帯にいるんだという危機感が、主人公の二人から全く伝わってこない。
なんかのほほんとし過ぎてて、男の方なんか酔った勢いで「そっちの部屋で一緒に寝かせてよー、俺の部屋のエアコン壊れてるんだよー、ベッド大きいだろう?ベッドの真ん中仕切っていいからさあ」と、女の部屋のドアの前でしつこくごねて迫る。気持ち悪っ。最終的に断るけどまんざらでもない様子の女、あり得ない。脚本も演出も完全に男目線なんだろう。
いくらこの後長い間一緒に旅をして、危機的状況を一緒にくぐり抜けたとしても、この時の「酔っぱらってごね口説き」を忘れない限り絶対コイツを好きになれるとは思えない。それくらい気持ち悪い。
さらに、結局フラれてヤケになって更に飲んで、売春婦を引っ張りこんで、あげくパスポートやら5000ドルも吹っ掛けられた船のチケットやらごっそり盗まれる男。アホすぎる。
モンスター近くにいるんだよ。いつ現れるかわからないんだよ。なんでそこまで脳みそユルくなれるのか?

モンスターが地球で繁殖し始めてから数年経って、モンスターが定期的に現れるのが当たり前になってしまってる、モンスターと共存してる次元になっちゃってる現地のメキシコ人が、逃げずに自分たちが生活していた土地に留まってるのは何となくわかる気がする。

でも、モンスターの存在が日常化していないはずのアメリカからやって来たばかりの主人公なら、もう少し緊張感ないとおかしいでしょう。しかも間もなく封鎖される予定で、出国するなら今のうちって状況で。ここに来るまでにも、乗ってた列車が急遽引き返す事になったり、予定通りにいかない場面あったじゃん。なんでそこまで気を抜けるのか?

まあ、こういう、置かれてる状況に合わない能天気な行動を取る登場人物は、映画やドラマ、特に海外のものでは頻繁に見かけるから、別に驚きはしないけど。
呑気で間抜けな人間を出しとかないと、ドキドキハラハラ感を演出できないポンコツ脚本・演出家が多いって事ですかね?

でも、あくまで映画、ドラマの世界だから、って思ってたら、このコロナ禍の真っ只中でわざわざ密集デモやったり、ロックダウン解除だぜ!パーティイェーイ!な人たち続出の海外ニュースやってて、時と場合がわからない能天気ピープルは映画やドラマの過剰演出の賜というわけでもないのかも、と思ったり。


ただ、あえて能天気な主人公を弁護するなら、そもそも、モンスターは人間にとって本当に脅威だったんだろうか?
積極的に人間を襲ってきてたんだろうか?

モンスターの出没する地域で呑気に酔っぱらってるのは、実はそれほど非常識な行動でもなかったんじゃないか?
恐らくは、世界中の誰よりもモンスターの実態を知ってるはずの現地の人が、割と普通に日常生活を送ってて、だからその生活感が通りすがりの外国人である主人公の危機感の欠如にも影響してたんじゃないか?とも思ったり。

中盤あたりで、軍の空爆によって死者5000人、空爆止めろ!って書かれてる場面が出てきて、現地の人が恐れてるのは、実はモンスターによる襲撃ではなく、モンスター殲滅と称して民間人巻き添えも仕方ないと平気でガンガン爆弾落としてくる軍の方だったりするのか?本当のモンスターはどっちだよ?と思わせる。

モンスター側から見れば、ある日突然異星人に拉致されて監禁されてた船が壊れて地上に落っこちて、それでも何とか生き延びて環境に適応して生き物として当たり前の営みをしていたに過ぎないのに、勝手に脅威とみなされて攻撃されて、だから正当防衛で人間を見たらやられる前に攻撃・・・って事なのかもしれない。

ラストの方で、コンビニに侵入してきたイカ型モンスターが、たまたまついてたテレビに見いってるように見える描写があって、それを息を詰めて見ていたヒロインがコンセントを抜いてテレビが消えると、スルスルっとモンスターがコンビニから引き上げる。

テレビが見たかっただけなんかい!?

その後、コンビニから出てったモンスターがもう一体現れた別のモンスターと触手を絡めたりしてイチャイチャしてるっぽく見えるシーン。
そのイチャイチャっぽい様子を、魅いられたように見つめる主人公二人。
バックに流れる音楽の効果か、幻想的で神秘的な感じすらする。

やがて、左右に分かれて姿を消すモンスター2体。

我にかえってふと目を合わせる人間二人。

女が「帰りたくない」とつぶやく。
近づいてキスをする二人。(私がヒロインの立場なら、こんなキモ男絶対嫌だけど)

このくだり、ヒロインの言動が意味不明という感想をいくつか見たけど、(男が気持ち悪くて受け付けないのは一旦置いとくと)ヒロインの気持ちは何となくわかる気がする。

金持ちの家に生まれてそれなりに恵まれた人生だけど、今一つ自分の思い通りに生きられない。閉塞感。
恐らくはNOが言えない性格であろうヒロインが、結婚を前に迷い悩み、目の前の現実から逃げるように異国に来て、異常な状況下で会ったばかりの男と旅をする事になり、様々な困難を乗り越えてようやく国にたどり着いた。
安堵感と同時に、またあの世界に、あの日常に戻るのか、そして心から望んでいるとは言えない結婚をして、物質的には満ち足りて安定してるけど、その安定ゆえに先が見えてしまった人生を生きるのか、ただ歳を重ねていくだけの人生を。そんな虚しさが押し寄せてくる。

ついさっき目にしたのは、生き物が生き物として当たり前に行う愛の営み。交尾という事だったのかもしれないけど、そんな身も蓋もない表現をしたらモンスターに申し訳ないくらい優しい触れあい方に見えた。人間が怪物と呼ぶ地球外生命体ですら、生き物の本能に従って慈しみ合い、その愛と優しさに満ちた時間は彼らを怖れていた自分さえ包み込んでいった。

なのに、私は一体何をしているんだろう。
自分を偽って何をしようとしてたんだろう。

そんな思いが「帰りたくない」の呟きになったんじゃないのかな。
と、私は感じたんだけど。
なにせ中間をすっ飛ばして観たので違うかも。

私も、10代の頃から閉塞感みたいなものをずっと抱えてて、とりあえず一度思いっきり環境を変えてみようと思って、かねてから憧れていたヨーロッパに3ヶ月旅行した事があって、だから自分の経験に当てはめてそういう解釈をしてしまったのかもしれない。


で、完全に二人きりの世界に入り込んでた所に、救援に駆けつけた米軍のジープが、空気読まない勢いで画面に乱入してきて「男女を保護する」と無線で伝えたかと思うとチュー真っ盛りの二人を無造作に引き離す。



ちなみに、この映画のオチと言うか、一番の肝はラストが冒頭のシーンに繋がる所。

一応、冒頭から途中まで録画しておいて良かった。
ラストを観てから冒頭シーンを再生して観て、なるほど、そういう構成だったのかと納得した後で、何だかなあと複雑な気持ちになった。

これはバッドエンドなのか、それともある意味救いなのか。

異常な状況下で結ばれたカップルは続かない、と言ったのは「スピード」のジャック(キアヌ)だけど、もしあのポンコツキモ男と一度は心踊る逃避行をしたとしても、結局続かなかったと思う。


初めて生きている実感を味わった所で人生を全うできたと考えれば、それはそれで幸せな事なのかもしれない。



タイトル詐欺と、主人公の男が気持ち悪過ぎたのと、男が気持ち悪過ぎたからその後の女の心の動きやら何やらに全く共感できず、共感できなかったから恋愛もの要素が邪魔くさく鬱陶しいとしか感じられなかったのと、それらを除けばまあまあの映画だと思う。
タランティーノがこの映画を絶賛したらしいけど、そう言えば私タランティーノの映画あまりタイプじゃなかったな、と改めて思い出して納得。




これは低予算で作ったそうで、予想外に高い評価を得たため調子に乗って続編も制作された。

こっちは一応最初から最後までちゃんと観た。
リアルさ、生々しさを描きたがりの監督らしく(1作目はハリウッド版「ゴジラ」のギャレス・エドワーズが監督、続編はエドワーズが製作に回り、他の人が監督した)、エログロシーンが無駄に多い。エログロシーン以外にも無駄なシーンが多い。100分くらいで普通に戦争映画として作れば佳作という評価になったかもしれない。
モンスターの存在は全く必要ない。
1作目はタイトル詐欺ではあったけど、一応モンスターの必要性はあった。
続編は見事なまでに背景と化している。
なんで続編という触れ込みでこれを制作したのか意味がわからない。

予算とか宣伝とかの都合、いわゆる大人の事情ってやつだったのでしょうか?