謎好きにゃんこの妄想

謎と名のつくものに目がないにゃんこ好きが妄想脳で綴るブログですニャ

フィギュアのルールは、とりあえずポイント掴めばOK!ざっくりアバウト解説Q&A

前置きが長いので、興味ない方はすっ飛ばしてポイント解説に直行して下さい。

 

 

フィギュア、TVでやってたら観るけどよく分からんのよなあ、いや、綺麗だし華やかだし、ボーっと観てる分には楽しいんだけど、採点がなあ。

うわっ、何?この選手凄いじゃん、凄くいいじゃん、なのに・・・アレ?得点異様に低くね?特にミスしたように見えなかったのに、なんで?アレ?次に滑った選手、転んだのにさっきのミスしなかった選手より得点高いじゃん、なんなのコレ?

八百長だよ、八百長〜!

これだから採点競技ってイヤなんだよね〜、なんか後味悪くて。選手は頑張ってるのになあ。せっかく楽しく観てるのに、結局最後はモヤモヤしてイヤ〜な感じになって終わる。

フィギュアみたいな採点競技はもういいや、スキーのタイム競うやつとか、もっとスッキリ気持ちよく観られるもの観ようっと。

 

・・・かつての私です。

 

フィギュア自体は結構前から好きでした。選手の演技を観る事自体は。でも、点が出て順位が決まって、それが納得いかない結果だった場合の後味の悪さと言ったら。解説者や、ダイジェストやスポーツ番組やらがそれなりにああじゃないか、こうだったからじゃないか、と解説らしきものをしてくれるんだけど、どうも歯切れが悪くて、かえってモヤモヤが増すだけ。

 

多少なりとも採点ルールが分かるようになった今でもモヤモヤはあります。もちろん。なにせ、常に不正ジャッジ疑惑のつきまとう事でお馴染みのフィギュアですから。いや、ハッキリ言っちゃおう。ジャッジのさじ加減、又は意図的ルール無視による得点操作はある所にはありま〜す!最悪の場合、やる前からほぼ順位は決まっていま〜す!

 

ただ、ある程度ルールを勉強してきた私の感覚では、一見しておかしい?と思うような採点のうち、本当におかしいと断言できる採点は試合にもよりますが1〜3割くらいではないかと。

えっ?ずいぶん多いじゃないかって?

疑惑の殿堂フィギュアを舐めないで下さいよ。これでも少ない方です。私はジャッジに対してかなり寛大な方だと思います。もっと詳しいファンの皆さんは、おそらく、もっと厳しい見方をしてらっしゃると思います。

 

でも、採点ルールが少しでも分かるようになると、モヤモヤの何割かは解消する可能性があるし、解消しなくてもモヤモヤの正体、原因がはっきりして、少なくともその分だけはモヤモヤが薄まります。

不可解な得点の原因が、ルール自体にあるのか、ルールを運用するジャッジの判定にあるのか。また、ジャッジの判定がおかしいと感じるのは、単に主観の違いによるものなのか、誤審なのか。誤審の場合、単なるミスなのか、能力不足なのか、意図的なものなのか。そういう区分けが多少出来るだけでも、少しはスッキリ・・・します、多分・・・?

 

更に、採点ルールをある程度分かって観ると、また別の楽しみ方も出来るんです。

理数系の方、私のように数字大好き、分析大好き型の人には特に。

私のような意地悪大好き人間には、ジャッジのアラを探して文句つける楽しみもありますよ。

 

      ⛸⛸⛸⛸⛸

 

長くなりましたが、それでは採点ルールの超ざっくりアバウトなポイント解説。

全部覚えなければいけないものではないので、必要な項目だけ目を通して大体こんな感じ、っていうのを把握していただければ。

❶勝敗を決するポイントって何だ?

ショートプログラムフリースケーティングの違いって何だ?

❸要素(エレメンツ)って何だ?

❹ジャンプって何種類あるの?

❺スピンの種類って幾つあるの?

❻ステップシークエンスって何?

❼コレオシークエンスって何?

❽要素の内訳は?行う順番は?

❾ジャンプ後半1.1倍って何の事?

演技構成点って具体的にどういうもの?

 

 

 

❶勝敗を決するポイントって何だ?

 

「勝敗を決するポイントは主に3つ、

難易度+技の出来栄え+プログラムの完成度である」

(と私は理解している)←弱気

 

 

①基礎点(難易度)

ジャンプ、スピンなどの、それぞれの技に対する点。技の難易度がどれくらいなのかを知るバロメーター。これが高ければ高いほど難しいという事です。

難しい技をたくさんやった選手ほどたくさん点がもらえる、シンプルです。

 

 

②GOE(技の出来栄え)

それぞれの技に対する評価。出来栄え点と言われるものです。質が良ければプラス、ミスがあればマイナスになります。

難しい事をただやりさえすればいいってもんじゃないよ、ミスしたらガッと減点しちゃうよ、という事ですね。

 

①基礎点+②GOEで算出される得点を技術点と言います。ジャンプやスピンなどの1つ1つに与えられる点です。

 

GOEの幅は、-5〜+5まで。GOE1は基礎点の1割。GOE5なら基礎点の半分が加点され、GOE-5なら基礎点の半分減点される。つまり、技術点は、最高が基礎点の1.5倍、最低だと基礎点の半分。

◉具体例

基礎点8.0のトリプルアクセルの場合

・GOE5=基礎点の5割=8.0×0.5=4.00

      8.00+4.00=12.00

・GOE1=基礎点の1割=8.0×0.1=0.80

      8.00+0.80=8.80

・GOE-3=基礎点の3割のマイナス

             =8.0×-0.3=-2.40

      8.00-2.40=5.60

・GOE-5=基礎点の5割のマイナス

             =8.0×-0.5=-4.00

      8.00-4.00=4.00

 

最高で12.0点、転倒など大きなミスがあれば最悪4.0点になります。ヒエ〜!

 

↓ちょっと細かい話になります。

1回転少ないダブルアクセルの基礎点は3.30なので、やはりトリプルアクセルなどの高難度ジャンプにはトライする旨みがあります。

トリプルアクセルなら、例えコケても最低でも4.00点の技術点が貰える。

ダブルアクセルは綺麗に着氷してGOE2(基礎点の2割=3.30×0.2=0.66)のプラス評価を貰っても、技術点は3.30+0.66=3.96。

技術点だけを見ると高難度ジャンプにトライする方が圧倒的にお得。

ただし、転倒など大きなミスをすると演技構成点の評価が下がる上、無駄に体力を使ってしまったり、連鎖反応的にその後の演技に悪影響が出たり、技術点以外でのマイナスが大きいので、無理して高難度ジャンプを跳んで転倒するよりは、1つ回転数の少ないジャンプを確実に決めてプラス評価を貰う方がトータルでは有利だと思います。

とは言え、試合と練習とでは違うので、失敗するリスクを負ってでも実際に試合でチャレンジしていかないと高難度ジャンプを本当に武器にしていく事は出来ない。毎試合、手堅く確実に、を考えているだけでは、いつまで経ってもより高いレベルで競う事が出来ない。

どのくらいの成功率になったら高難度ジャンプ(ジャンプに限りませんが)を試合でチャレンジしていくのか、このあたりにも選手によって考え方の差が出ます。

 

 

演技構成点(プログラムの完成度)

ジャンプ、スピンなどの要素を含めプログラム全体に対する評価。スケーティング技術などに対する評価も含みます。

ジャンプやスピンなどの技だけ頑張ってもダメだよ、プログラム全体が1つの作品として良く出来てる事も必要だよ、って事です。

 

※高難度ジャンプに頼った構成の演技、ミスを恐れて無難にまとめた演技、どちらかに偏るのではなく、高みを目指しつつも全てにバランスよく質が高い演技を高く評価しよう、という理念で作られたルールだと思います。理念は素晴らしいですね。正しく運用されてさえいれば。

 

 

フィギュアの得点は、

技術点(①基礎点+②GOE)+③演技構成点

で算出されます。

 

↓ココはちょっと細かい話になるので、ふ〜ん、そういうのもあるのか〜くらいのざっくり理解で十分だと思います。

※重大なルール違反による減点(ディダクション)もあるので、正確には

「技術点+演技構成点+ディダクション=そのプログラムの得点」です。

ディダクションの対象となる違反行為は複数ありますが、最も多いのは転倒(正確には、バランスを崩して体重の大部分がスケートのエッジ以外に乗った状態が違反)による減点です。

つまり、転倒すると、出来栄え(②GOE)でマイナス評価されるのでジャンプの技術点が大きく減り、さらにディダクションで減点、とダブルパンチを喰らうのです。

 

 

そして、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)という2つのプログラムを滑って、SPとFSの得点を合計した総得点で最終的な順位が決まる仕組みです。

 

 

ショートプログラムフリースケーティングの違いって何だ?

 

ショートプログラム

私の理解では、規定演技という昔あったものの性質を受け継いでいるものではないかと。

だから、ショートプログラムは規定が多いです。そして、この規定を満たしていないエレメンツは、最悪でなんと0点になってしまうのです。

最近は、テレビ放映の時、画面の左上に演技中の選手の暫定の技術点が表示される事が多くなりました。そこでたまに「規定違反により無得点」と表示される事があります。多くはショートプログラムで規定を満たしていないために0点になってるケースです。

 

フリースケーティング

その名の通り、ショートプログラムに比べると自由度が高いです。採点ルールの範囲内であれば、ジャンプやスピンを自由に選べるし、ショートプログラムでは0点になってしまう失敗ジャンプも、フリーではそれなりの点が貰えます。

 

 ●具体的な違い

 演技時間 ショート  2分40秒±10秒

      フリー   4分±10秒

 要素(エレメンツ)の数

      ショート  7

      フリー   12

 採点   ショート  採点ルール+規定

      フリー   採点ルール

 

 

❸要素(エレメンツ)って何だ?

 

ジャンプ、スピン、ステップシークエンス、コレオシークエンスの事です。❶で説明した技術点(①基礎点+②GOE)は、この要素に対する得点です。

 

 

❹ジャンプって何種類あるの?

 

6種類です。

1番難しいのがアクセル。唯一前向きに踏み切ります。ジャンプは全て後ろ向きに降りるので、アクセルは他のジャンプより半回転多く回ります。

残りの5つは後ろ向きに踏み切ります。

難しい方から、ルッツ、フリップ、ループ、サルコウトゥループです。

ジャンプの種類は「踏み切り」で決まります。

 

※3連続ジャンプの2つ目で使われるオイラージャンプというものもありますが、これは繋ぎ用の変則ジャンプなので例外的なものという理解でいいと思います。

 

↓ココは細かい話になるので、興味ない方はすっ飛ばして下さい。

オイラーとは、身体を1回転させる際に右足から左足に着氷の足を移し替えるジャンプ。

ジャンプの着氷は基本的に全て右足なので、コンビネーションの2つ目、3つ目は必然的に「右足踏み切りの」ループかトゥループになります。

ただし、3連続においては、オイラージャンプを2つ目に入れる事で着氷の足が右足から左足に移るため、3つ目に「左足踏み切りの」フリップやサルコウを跳ぶ事が出来ます。

これによって、コンビネーションのバリエーションが増え、また場合によっては基礎点が高くなるというメリットがあります。

例)

 3ルッツ-2トゥループ-2ループの基礎点

   3ルッツ(5.9点)

   +2トゥループ(1.3点)+2ループ(1.7点)

            =8.9点

 3ルッツ-1オイラー-3サルコウの基礎点

  3ルッツ(5.9点)

   +1オイラー(0.5点)+3サルコウ(4.3点)

            =10.7点

 

 

ジャンプの基礎点は、ジャンプの「種類」と「回転数」に応じて定められています。難しい種類、回転数の多いジャンプほど高い基礎点が貰えます。

得点を多く稼ぐためには、難しいジャンプを出来るだけ跳んだ方がいいのは当然ですが、難しければ難しいほどミス率も高くなります。ミスをするとグワッと減点されるのでリスクがあります。手堅く行くか、ハイリスクハイリターンを狙うのか。選手によって得意不得意もありますし、そんなこんなを考慮してどういうジャンプ構成にするのか、それぞれの選手の戦略が見えて面白い所です。

 

 

❺スピンの種類は幾つあるの?

 

大きく分けると3タイプに分けられます。

○キャメルスピン

後方に伸ばした足の膝が腰よりも高い位置にある姿勢で行うスピンです。3つのうち、最も柔軟性を必要とし、最も難しい姿勢らしいです。

○シットスピン

文字通り、座った姿勢で行うスピン。座りが浅く、腰の位置が高いと、シットスピンとして認定して貰えない事があります。この辺の判断はぶっちゃけ、ジャッジのさじ加減になっちゃってると思います。

○アップライトスピン

一応定義はあるようですが、キャメルとシット以外の全て、というざっくり理解でいいと思います。背中を反らした姿勢で行うレイバックスピンもこの仲間に入るようです。

 

この3つを組み合わせて行うスピンをコンビネーションスピンと言います。当然、単独スピンよりも基礎点は高いです。

 

スピンの基礎点は、スピンの「種類」と「レベル」によって定められています。

レベルは、レベルを上げるための要件が定められていて、1つ満たせばレベル1、2つ満たせばレベル2・・・という具合にアップし、レベル4が最高です。トップレベルの選手のほとんどは、レベル4が取れる構成のスピンを組み込んでいます。

例)

レイバックスピン

 レベル4 2.7点  レベル3   2.4点

 

スピンによっては、フライングや足替えというオプションを付けて行う事が出来ます。これを付けると、基礎点がより高くなります。

例)

シットスピン(レベル4) 2.5点

フライングシットスピン(レベル4)    3.0点

 

※必要な回転数が足りなかったと判定されると、せっかく綺麗に回ったスピンでも基礎点が低くなったり0点になったりする事があります。ヒエ〜!

 

 

❻ステップシークエンスって何?

 

文字通り、ステップを踏みながら音楽に合わせて踊るパートです。音楽表現という点で重要な部分ですね。

ジャンプやスピンと違って種類はなく、難易度を表すレベルによって基礎点が変わります。最高難度はレベル4で基礎点は3.9です。

このレベルの見極めは、フィギュア経験者か相当詳しいファンの方じゃないと出来ないと思います。私は今勉強中ですが、ほぼほぼ分かりません。

 

※ステップを行ったと認定されるための最低条件は「リンクを端から端まで大きく使う事」です。短い辺を一往復するか、長い辺を端から端まで移動するか、どちらかが必要です。これを満たしていないと、どんなに素晴らしいステップも0点になります。個人的に選手が可哀想過ぎると思うルールの筆頭です。

ジャンプやスピンに比べると地味なので、初心者にとってはちょっと退屈に感じるパートかもしれません。ちょっと前までの私がそうでした。が、まずはこの「リンクを大きく使えているか」という点に注意して見るだけでも違ってくると思います。難しいステップを踏みながら、踊りながら、どういうコースを通って移動しているのか、とか。

 

 

❼コレオシークエンスって何?

 

種類もレベルもなく、自由に音楽を表現するパートです。

基礎点は3.0。コレオを行ったと認定されれば全ての選手に同じ基礎点が与えられます。私の知る限り、認定されなかったケースはないと思います。

前述の通り、GOE1は基礎点の1割なのですが、コレオシークエンスだけは例外です。コレオのGOE1は0.5点に換算されます。最高のGOE5なら2.5点貰えます。

 

表現という点では、自由度が高い分ステップよりも大きな見せ場になると思います。ここで得意技を決めてくる選手が多いです。

宇野選手のクリムキンイーグル(膝を曲げて身体を氷と並行になるまで倒して横滑りしていくヤツ)とか、羽生選手のハイドロブレーディング(う、上手く言葉で説明できない・・・多分みんな1度は見たことあるはず、お馴染みの技)とか。坂本選手のFS「マトリックス」のコレオでは、片足を高く上げたまま刃物(スケートの刃)で威嚇しながらジャッジの前を通り過ぎていくヤツ(技の名前が分からない)が話題になりました。刃物で威嚇と言うのは冗談ですが、ジャッジが思わずのけぞってしまうくらいのスピードと迫力でした。

コレオは、選手のドヤ顔が見られる率ナンバーワンのパートであり、観客が最も盛り上がる率もナンバーワンだと思います。

 

 

❽要素の内訳は?行う順番は?

 

 ショート        合計7

  ジャンプ         3

  スピン          3

  ステップシークエンス   1

 フリー          合計12

  ジャンプ         7

  スピン          3

  ステップシークエンス   1

  コレオシークエンス    1

 

ショート、フリー共に行う順番は自由です。

 

 

❾ジャンプ後半1.1倍って何の事?

 

体力的にキツくなってくる後半に跳ぶジャンプには、基礎点を1.1倍にしてあげよう、というボーナス的なルールです。

私の記憶では、体力のある前半にジャンプをまとめて跳んでおこう、という選手が多すぎたので、バランスの良いプログラムにしてもらうために出来たルールじゃなかったかと。

ところが今度は、1.1倍を狙って後半にジャンプを集める選手が増え、ついには全てを後半に跳ぶプログラムをやっちゃう選手が出てきた。その1人、ザギトワ選手がそれで五輪の金メダルを取り様々な議論を呼んだ。

そういう経緯があって、現在は、後半に跳んだジャンプの内、ショートは最後の1本、フリーは最後の3本のみ1.1倍、と限定されています。

1.1倍になるのは基礎点だけで、GOEは変わりません。

 

 

演技構成点って具体的にどういうもの?

 

5つの項目で評価されます。

○スケーティング技術

○繋ぎ

 要素と要素の間。加速して、跳ぶぞ〜跳ぶぞ〜と長く構えてジャンプ!また加速して跳ぶぞ〜跳ぶぞ〜ジャンプ!みたいな単調な演技ではダメですよ!繋ぎの所でもしっかり音楽に合った滑りや動きをしないと点をあげませんよって事だと理解しています。

○パフォーマンス

○構成

 いろんなポイントがありますが、ざっくりまとめると、スケートを通して音楽を表現するためにどのくらい工夫をしてるか?という点を評価する項目だと私は理解しています。

具体的には、曲の転調、強弱に合わせてジャンプ、スピンなどの要素を効果的に配置できている、リンク全体をバランス良く大きく使えている、身体の動き、表現が音楽に合っていて、バリエーションや独創性があるなどなど。

同じスピードで同じコースをグルグル回って、同じような場所でジャンプを跳んで、ワンパターンな動きをする、そんな単調な演技はダメですよって事かな?と思います。

○音楽との調和

 

演技構成点は、この5つの項目に10点満点で点が付けられるのですが、SPとFS、男子と女子で係数が違います。技術点と同じくらいになるように、というコンセプトで設定されているためです。

SP      男子 50点満点   女子 40点満点

FS      男子  100点満点   女子 80点満点

 

 

 

あと、もう一つ、非常に重要なファクターがあり、それが「回転不足」と「エッジエラー」です。ジャンプの判定に関わるものです。

素人目には分かりにくい微妙なものですが、この判定を受けると減点対象になります。細かい話になるのでここでは深く触れませんが、下手すると転倒よりも大きく点が下がるミスです。「転倒した選手が転倒しなかった選手に勝つなんておかしい!」と疑念を呼ぶケースは、大半はコレが原因だと思います。

 

      ⛸⛸⛸⛸⛸

 

より理解しやすいように、具体例を挙げてみます。

Bは基礎点、GはGOEの略として表記します。

スピンステップの後の数字はレベルを表します。

 

女子選手を想定した演技構成例です。

全てのエレメンツでGOE3の評価を貰ったという設定です。

 

SP(ショートプログラム)

 3ルッツ3トゥループ  B 10.10  G 1.77   11.87

 レイバックスピン4    B 2.70   G 0.81    3.51

 2アクセル           B 3.30  G 0.99    4.29

 3フリップ(1.1倍)   B 5.83  G 1.59     7.42

 ステップ4                  B 3.90   G 1.17     5.07

 フライングキャメルスピン4

             B 3.20   G 0.96    4.16

 足替えコンビネーションスピン3

           B3.00   G 0.90    3.90

  技術点合計(TES)                40.22

  演技構成点(PCS)                34.50

  ディダクション                  0.00

  SPの得点                  74.72

4回転やトリプルアクセルなどの大技はないけど、大きなミスなく演技を終えたという設定です。

最後のスピンだけレベル3となりましたが、他は最高難度のレベル4を取れました。

女子のSPの演技構成点は40点満点なので、34.50(例として適当に設定した数字です)はかなり高い評価になります。

つまり、74.72点は、女子SPの得点としてはかなり高い方で、FSの出来と他の選手の顔ぶれ次第では表彰台、更に優勝も狙えるレベルです。

 

トリプルアクセルを跳ぶ選手の場合は80点前後の点を叩き出します。女子はSPに4回転ジャンプを組み込む事が出来ないルールなので、女子ではトリプルアクセル持ちの選手が有利です。

男子は4回転とトリプルアクセルの両方を組み込むのが普通になっています。羽生、宇野、鍵山の3選手、現世界王者ネイサン・チェンらトップレベルの選手は自己ベストが100点台です。

 

FS(フリースケーティング)

 3ルッツ3トゥループ  B 10.10  G 1.77   11.87

 3フリップ      B  5.30  G 1.59    6.89

 2アクセル      B  3.30  G 0.99   4.29

 3サルコウ      B  4.30  G 1.29    5.59

 フライングキャメルスピン3

           B  2.80  G 0.84   3.64  

 ステップ3                   B  3.30  G 0.99   4.29

    (ここから後半)

 3ルッツ3トゥループ(1.1倍)

           B 11.11   G 1.77  12.88 

 2アクセル2トゥループ2ループ(1.1倍)

           B  6.93  G 0.99   7.92

 フライング足替えコンビネーションスピン3

           B  3.00  G 0.90  3.90

 3ループ(1.1倍)    B  5.39  G-2.45  2.94

 コレオシークエンス B  3.00  G 1.50   4.50

 足替えコンビネーションスピン4

           B  3.50  G 1.05   4.55

  技術点(TES)                        74.26

  演技構成点(PCS)                69.50

  ディダクション       -1.00

  FSの得点         142.76

4回転やトリプルアクセルという大技はないけど、アクセルの次に基礎点の高いルッツを2回入れて少しでも高得点を狙おうという構成です。残念ながら、最後のジャンプ3ループで転倒し、GOEが-5、更にディダクションで1点減点となりました。

スピンステップは最後のコンビネーションスピン以外、全てレベル3になってしまいました。

GOEは、転倒したループ以外全てのエレメンツで3の評価をもらえたという設定で計算しています。ほとんどのエレメンツでこれだけ高い評価が付く選手はトップレベルでも稀ですので、この選手は苦手なものがなく、演技構成点も80点満点で69.50(例として適当に設定した数字です)貰えているので総合力の高い選手だと言えます。

 

ただし、女子も4回転時代に突入しつつあり、4回転もトリプルアクセルもない選手には厳しい時代になりつつあります。高難度ジャンプは1本入れるだけでも得点に大きな差が出てくるのに、近頃では複数の高難度ジャンプを入れてくる強者が1人や2人じゃないので。

転倒がありながらも140点台が出せる選手は、一昔前なら優勝を狙えたレベルですが、これからは表彰台に乗るのが精一杯になってくると思います。

もっと上を目指すためには、高難度ジャンプを身につける、スピンステップをレベル4で揃えられるように更に磨く、スケーティング技術や表現力を更に高めてより高い演技構成点を狙う、などの努力が必要になります。

 

演技構成や採点を通して、選手の特徴、得意不得意、個性、戦略などが見えてくるのも面白い所です。

 

      ⛸⛸⛸⛸⛸

 

このように、上記の10項目がざっくりアバウトに理解できていれば、何も知識なく観てるよりはもう少し違った深めの楽しみ方が出来るのではないかと。解説や実況の言ってる事もより容易に理解できるようになるし。

まあ、実況アナによってはトンチンカンな事や間違った事を言ってる場合もあるので、あまりあてにはなりませんが。解説者が言葉に詰まったり不自然に黙り込んだ時は、実況アナが付け焼き刃の知識で間違った事を言ってる可能性がありますw  気まずい時間が流れるよりは、ハッキリ「それ、違います」と教えてあげた方がいいと思うんですけどね。アナウンサーはその競技の専門家じゃないので、知識が不十分だったり間違ったりする事があってもおかしくない。フィギュアは元々ややこしく細かいルールだし。

ややこしく細かいですが、まずはポイントをざっくり掴めば大丈夫。

 

冬季五輪まで1年をきりました。

普段はフィギュアなんて観ないけど、五輪だから見てみるか、って人も多いと思います。

でも、見たら採点が変でなんか冷めちゃう、選手の演技は素晴らしいのに・・・という昔の私のような事を思っているそこの方、数字や分析が好きなそこの貴方、ジャッジのアラを探して文句付けるのが好きな、私に似た意地悪大好きっ子の皆さん。

良かったら、フィギュアを一緒に楽しみましょう!